(c)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS
『サマーウォーズ』のラストは盛り上がりますね。
健二の「よろしくお願いしまぁぁぁす!」からの小惑星探査機『あらわし』の墜落。
最後「ハッピーバースデー、ディア、おばーちゃーん」があって、夏希から健二へのキス。
と、盛り上がる要素がてんこ盛りのドタバタ笑いと感動ありのラストですが。
実は小説版の方はラストが微妙に違うんです。
それについて紹介します。
おおまかな流れは同じです。
健二が暗号を解読した後、『あらわし』が墜落して陣内家の家屋は半壊するも、みな無事に生き残る。
次の日、栄おばあちゃんの葬儀と誕生日会を同時に行う…というところまでは同じです。
映画の方ではラスト、陣内家のみんなが見ている前で健二が夏希に「大好きです!」と告白し、さらに夏希が健二へキスをします。
しかし、実は小説版にはこのシーンはありません。
小説版のラストはどうなるかというと…。
映画の方と同じく、独身コンビの直美と理香が「健二くーん?このままでいいわけ?」「あらためて、ちゃんと言うべきじゃないのぉ?」と囃し立て、健二と夏希を向かい合わせます。
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そこで健二が夏希に告白するかと思いきや、「帰って来たら!お話ししたいことがあるんですけど!いいでしょうか!」と真っ赤な顔で言います。
ここまで気持ちがバレバレになっていながら、健二は夏希にまだ告白しません。
そして、健二は理一が運転するオートバイのサイドカーに乗り、陣内家の屋敷を後にします。
健二がどこに向かったかというと、保留になっていたOZの暗号解読の件の説明をするため、警察へ出頭するというのです。
陣内家の人々が今日じゃなくてもいいのにと言っていましたが、事情を説明するのは早い方がいいと健二は考え、署へ向かうことにしたようです。
告白せんのかーい!
キスせんのかーい!
映画の方は夏希からキスをされた健二が鼻血を吹き出し、それを見守っていた陣内家の人々が笑う賑やかなラストでした。
それに比べると、小説版のラストは一旦盛り上がりが引いて静かな終わりです。
しかし、小説版は映像ではなく文で健二の心情を表した、これはこれで味がある良い終わりだと思います。
署へ向かう道中の健二の独白。
陣内家の人々との思い出。
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美味しいご飯を食べて、敵との合戦で力を合わせ、勝利した数日間。
それらを健二は振り返り、以前の自分とは少しだけ違い、ほんのちょっとだけでも前より強くなれただろうかと考えます。
そして、オートバイを運転する理一との会話があります。
「君の暗号解読の才能は、放っておくにはもったいないと思うよ!」と理一は言い、健二に人の役に立つ仕事(サイバーテロ対策)に興味はないかと尋ねます。
暗号解読や人工知能はもうこりごり…と断る健二。
すると、理一が『男は少しくらい謎めいていた方がモテるのに。夏希の心もきっと鷲づかみだろうに』と言うと、健二は「詳しい話を聞かせてください!」と、その話に食いつく…という感じで終わりです。
将来、健二も理一みたいに『ちょっと言えないとこ』に所属するんでしょうかね。
映画の賑やかな終わりとは違う小説版。
まさかOZの暗号解読の件の説明のため、署へ出頭するとは思いませんでした。
帰ってきたら健二は夏希に告白することになっていますが、映画の方と同じく健二は鼻血を出してしまうのか?大丈夫?
小説版は映画の補足的なことが書かれているので、それぞれの登場人物たちの気持ちをより深く知ることができます。
ラスト以外にも小さな違いがいくつかあるので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
個人的に好きな場面は、万助が佳主馬に「悪くねえぞ、兄妹ってのは」と言い、理一と太助もそれぞれの姉や妹のことを話す場面です。
いくつになっても憎まれ口をたたいても家族だから、守るためならいくらでも頑張れる。
佳主馬より倍以上長く生きている人生の先輩たちが言うと説得力がありますね。
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