『サマーウォーズ』侘助と栄おばあちゃんについて【本当は人との繋がりを欲していた】

サマーウォーズ

(c)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

 

『サマーウォーズ』の重要人物である侘助と栄おばあちゃんについてです。
パスワードがおばあちゃんの誕生日だったなんて、41歳侘助おじさんはとんでもないツンデレでした。

 

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徳衛おじいちゃんは放蕩者

侘助は栄おばあちゃんの今は亡き夫、徳衛(とくえい)の隠し子。
愛人の子、妾の子ということですね。

 

この徳衛は陣内家に入り婿としてきたようで、かなりの放蕩者だったそう。
めちゃくちゃな浪費家で栄も苦労したんだとか。
おまけに愛人まで作って隠し子まで…。
どういう経緯であの栄と結婚したんでしょうかね、気になります。

 

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侘助の年齢からすると、徳衛が40代~50代のころに生まれた子のはず。
ということは、それぐらいの年齢のときに愛人となる女性と関係をもっていたんですね。
相手はやっぱり年下の若い女性でしょうか。

 

…冷静に考えるとすごいな、徳衛おじいちゃん。
昔は妾を持つことは珍しくなかったようですし。
きっと徳衛にそうした年齢を感じさせない、女性を惹きつける魅力があったんでしょう。
映画ではサラッと侘助の過去が語られているけど、ドロドロ昼ドラみたいにならなくてよかった。

 

妾の子として

そんな風に隠し子として生まれた侘助ですが、彼の母が10歳のときに亡くなります。
行くあてがなく、妾の子と蔑まれていた侘助を養子として迎え入れたのが栄です。
このとき10歳の侘助に対し、栄は58歳ごろでしょうか。

 

小説版には、そのときの侘助の気持ちがこう書かれています。

 

病死した母親よりも、何十歳も歳をとった義母だった。差し伸べられた手は皺が刻まれていて、とても母と呼ぶ気にはなれなかった。

しかし、栄が笑って言った「アンタは、うちの子になるんだよ。あたしたちは今日から、家族になるんだ」という言葉を聞いて、天邪鬼だった侘助は生まれてはじめて素直に栄の手を握り返したそうです。

 

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笑顔で家族として迎え入れてくれた栄に連れられ、侘助は陣内家で養子として暮らすようになりますが。
このとき、栄の子どもたち(万蔵、万里子、万助、万作)はすでに40代~30代の成人。
しかも結婚して子どももいます。

 

侘助は万里子たちの異母弟になりますが、あまりにも年齢が離れています。
30歳近く歳の離れた万里子たちより、侘助には同じ年ごろの栄の孫世代(理一や太助)の方が話しやすかったんではないでしょうか。
作中で陣内家に現れた侘助が、「太助さん、また太った?」と気さくに話しかけている様子から、割りと仲がよかったのかも。

 

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大家族の陣内家の中、妾の子として侘助は肩身の狭い思いもしたでしょう。
その境遇をバネにするかのように、侘助は東大卒アメリカ留学という輝かしい経歴を手に入れます。
そこには、家族に認めてもらいたかった気持ちも恐らくあったと思います。

 

ツンデレパスワード

さて、そんな侘助が10年前に一家の資産を持ち逃げし、行方不明となっていました。
しかし今回、栄の誕生日を祝うため親戚一同が集まる中、ふらっと突然帰ってきた。

 

これまでの侘助の所業や口の悪さから、「何しに来た?」と冷たい対応の万助たち。
そんな義兄の冷たい態度にも気にした様子を見せず、侘助は「ん?なんで一族勢揃いなんだ?」と言います。
「日曜日、お誕生会なんです」という太助の言葉に、「誰の?」と一同を見回して言う侘助。

 

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このときの侘助。
後になってわかりますが、侘助のスマホのパスワードは栄の誕生日。
栄の誕生日が8月1日と知っていて、侘助はこの場に現れています。
しかし、みんなの前で『ばあちゃん誕生日おめでとう!』と言うわけにもいかず、『誕生日?誰の?』としらばっくれる侘助。
ツンデレおじさんか。

 

侘助は自身のスマホのパスワードを、「よお、ババア。まだ生きてたか」と憎まれ口を叩いていた栄の誕生日にしていました。
本当はおばあちゃんのことを慕っていた侘助。
パスワードにするほどなので、めちゃくちゃ大好きだったんでしょうね。
ツンデレすぎる、ツンデレパスワードです。

 

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このパスワード。
『0108』となっていて、英語表記の8月1日なんですね。
アメリカ帰りの侘助らしい表記です。
初めて映画観たとき気付かなくて、最近になって知りました。

 

あと、公開当時にガラケー中心の陣内家の中、唯一iPhoneを使っていた侘助。
その辺も東大卒インテリの侘助らしい設定ですね。

 

人との繋がりに憧れて

侘助がラブマシーンを開発したのはなぜか。
それは落ちぶれてしまった陣内家を再興するため、大金を得たかったから。
そして、これまでの挽回をして、おばあちゃんに褒めてほしかったから。

 

「今まで迷惑をかけて、ごめんな」
「挽回しようと思って俺、頑張ったんだよ。この家に胸張って帰ってこられるようにさ」

 

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侘助がラブマシーン騒動で一同に問い詰められたとき、栄に言った言葉は嘘ではなかったんですね。
しかし結果として、ラブマシーンはOZで大混乱を起こし、世間に迷惑をかけてしまった。

 

「うちからお金を持ち出すだけなら、まだいい。だが、よりによってそれを人様に迷惑をかけるようなことに使うだなんて、許されやしないよ」
小説版にあった栄の台詞です。

 

『ばあちゃんにもらった金のおかげで、(ラブマシーンの)独自開発ができた』という侘助の言動は栄を怒らせ、彼は栄に薙刀を突きつけられます。
本当は栄に褒めてもらいたかっただけなのに、皮肉にも栄の怒りを買うことになってしまうんですね。

 

 

そして、次の日の早朝に亡くなる栄。
そのことを夏希から知らされた侘助は、車を飛ばしてボロボロになりながら陣内家に帰ってきます。
その行動からも、あれだけ憎まれ口を叩いていた栄のことを、侘助は内心慕っていたということがよくわかります。

 

小説版には栄が亡くなったと知らされたあと、侘助のこれまでの気持ちを表した文があります。

 

人との繋がりに憧れ、人に近いプログラムを創ろうとした。
他の親戚よりも血の繋がりが薄い分を、金で補おうとした。

 

ラブマシーンが人々から奪おうとしているそれらは、10歳の頃から変わらず心細かった彼が心の底で欲していたものだったはずなのに。
繋がりを欲する彼の不器用な愛が、ラブマシーンを狂わせてしまった――

 

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侘助は人との繋がりを欲していた。
だから、祖母であり母であるおばあちゃんに褒めてもらいたかった。
しかし気持ちのすれ違いで、栄を喜ばすどころか怒らせてしまった。
切ないですね…。

 

 

では、栄は侘助のことをどう思っていたのか。
作中にあるように、自分の夫の愛人の子である侘助のことを、彼女は疎むことなく笑顔で喜んで迎え入れていましたし、遺言には侘助のことを気に掛ける文が記されていました。
まるで実の子のように、栄は侘助のことを大切に思っていたことがわかります。

 

また、愛人を作った放蕩者の夫、徳衛のことも彼女は憎んでいませんでした。
小説版に、子どもの夏希に夫の愚痴を言っていたという場面がありますが、それでも彼が亡くなるまで付き添い支え続けたと思います。

 

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浪費家で放蕩者の夫を支え、妾の子の侘助を受け入れた、栄の度量の大きさを感じることができます。
みなを叱咤激励して、あれだけ大家族をまとめ上げて、沢山の人との繋がりを持つ栄ですから。
きっと侘助が大金を得ようとラブマシーンを開発しなくても、栄は笑って彼を受け入れてくれただろうと思いますね。

 

まとめ

小説版には侘助がどう思っていたのか、栄が子どもの頃の夏希に侘助のことをまかせてしまった経緯など、映画の補足的な内容が書かれています。
気になる方は、小説版もぜひ読んでみてください。

 

私は物語ラストのラブマシーンとの戦い(花札)前のご飯を食べるシーンが好きです。
映画だと、侘助も陣内一同がいる食卓へ自然と入っていきましたが。
小説版では、義兄の万助との短いやり取りがあります。

 

 

やり取りと言っても会話はないんですが、万助が遅れて食卓へやって来た侘助をジロリと見上げます。
両者の視線が合い、健二が不安を覚える中、万助は無言で横に詰めて一人分の席を空けます。
侘助も、ふっと表情を弛ませたというものです。

 

これまで殺伐とした関係だった義兄の万助が、侘助を家族として食卓へ入れたという場面で印象的でした。
また、万里子も帰ってきた侘助に、栄の遺言通り「おばあちゃんにちゃんと挨拶してらっしゃい。そしたら、みんなで…ご飯食べましょう」と言う場面も良いです。

 

 

栄が亡くなったあと、これから侘助が陣内家の家族とどう繋がっていくのか気になります。
ツンデレおじさんが頑張って、徐々にみんなと仲良くなっていくのか。
でも侘助の性格からして、相変らず憎まれ口を叩いてそうですね。

 

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