いぬやしき5巻のネタバレ感想【獅子神皓の制裁と救済】

いぬやしき

(奥浩哉『いぬやしき』5巻)

 

くろやんです。

『いぬやしき』5巻のあらすじや感想を紹介していきたいと思います。

前巻では、それぞれが大きな転機を迎えて、面白い展開となってきました。
皓の幼馴染・直行が協力者となった犬屋敷さん。
もう人を殺すのはやめようと考えを変えた矢先、警察に追われることになった皓。

 

そして5巻、今回はまるまる皓の話です。
もう一人の主人公というか、完全にもはや『いぬやしき』の主人公になっています|д゚)

どうしても皓の方がストーリー的に波乱気味で、動きが大きく目立つから仕方ないんですけどね。

 

 

以下、5巻内容のネタバレ含みますので注意してください。

 

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渡辺しおん

4巻最後で警察から逃走した皓。
逃げたところで偶然、クラスメイトの渡辺しおんに話しかけられます。

その後、皓がどうなったかというと…。

 

よそのお宅でおばあちゃんに、大福餅を勧められていました。
「いや…いいです」と断る皓に、「大福食べときなさい」と、やたら大福餅を勧めるおばあちゃん。

どんだけ大福餅食べてほしいんだ。
どこの世界でも、おばあちゃんは若い者に食べ物を勧めたがりますね(;´∀`)

 

追記:アニメでは、原作以上に大福餅を食べてほしそうでした。
おばあちゃんの大福餅プッシュが原作以上だった

 

 

このおばあちゃんは、渡辺しおんの祖母。
しおんは警察に追われていた皓を自宅に匿ったようです。

 

彼女、もともと皓に好意をもっていて、4巻で皓に「好きです」と告白しています。
そのとき皓は、「ありがとう!」と笑顔で礼を言った後、そのまま去ってしまうんですが。
(まぁ、皓も好意をもたれて悪い気はしないでしょうw)

 

しおんは現在おばあちゃんと二人暮らし。
両親は二人ともガンで亡くなったそうです。

晩ご飯を食べた後、皓は寝静まったおばあちゃん、しおんの寝室に行きます。

 

inuyashiki5_1(奥浩哉『いぬやしき』5巻21p)

 

寝ている二人に対して、それぞれ銃を撃つような構えをするが…。
結局、皓は撃たずに、次の日も居座り続けることに。

 

 

全世界が敵だ

皓が起こした連続殺人によって、皓の母親はマスコミから詰め寄られ、ネット上でも叩かれていました。
その様子を見た皓は涙を流し、自責の念に駆られます。

 

夜、ニュースで皓の自宅前の様子が映り、『母親はいつの間にか姿を消してしまった』と報道されます。

それを聞いて一時安心した皓は、のんきにもバラエティー番組を観始める。
「はははっ…ウケる」と笑っていた皓でしたが、画面上にニュース速報のテロップが流れ…。

『連続民家襲撃殺人事件 犯人の母親が自殺』

 

無言のまま部屋を後にし、外へと出た皓。
上空へと飛んでいき、声を上げて泣き叫びます。

 

inuyashiki5_2(奥浩哉『いぬやしき』5巻40p)

 

自分が守ろうと大事にしていた母親が、自分のせいで自殺してしまった。
自業自得といえば確かにそうなる…けど…。

2巻で無関係の家族を殺す時の皓は、感情の起伏があまりない冷たい印象でした。
でも、こうしてみると苦悩して泣いて、すごく普通の人間らしい。

 

母親が自殺してしまったことで、自暴自棄になった皓がこれからどんな行動をとるかというと。
マスコミ、社会への報復でした。

 

父親の自宅前に集まっていたマスコミ連中を、一人残らず撃ち殺す皓。
「撃たないでくれ…」と言っていた、自分の父親はやっぱり撃たず。

 

次に、自宅の住所や写真をマスコミにバラした2ちゃんねらーの男を特定。

 

inuyashiki5_3(奥浩哉『いぬやしき』5巻80p)

 

皓は男のPCモニタに映り込み、遠隔式に男を撃ち殺す。
つくづくこの機械の能力すごいな( ゚Д゚)何でもできる。

 

さらに皓は、自分や母親のことをネット上で叩き盛り上がっていた、他の2ちゃんねらー達へ制裁を加えていきます。
皓の『2から順に殺していく 全員 待ってろ』の書き込みが、ホラーちっく。

 

予告通り順々に2ちゃんねらーを始末していく皓。
そして、掲示板には誰もいなくなった。

((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 

どんどんダークサイドへと堕ちていく皓。

必要とされる皓

マスコミ、2ちゃんねらーへの制裁を加えたものの、皓の心がすっきりと晴れることはなく。
夜、しおんの自宅へと帰ってきた皓は、寝床で一人涙を流す。

 

 

とうとう皓は自分を匿ってくれたしおんに、すべてを吐露します。
これまで何人も人を殺してきたこと。
そして、自分が機械の身体だということ。

 

皓が機械の身体となってから、何を思っていたのか。
それが明かされます。

 

inuyashiki5_4(奥浩哉『いぬやしき』5巻110p)

 

機械となり、「心がない、生きていない…ひたすら怖かった」と言う皓。

たまたま下校中見た、駅での飛び込み自殺で『人の命が消えたことで、自分は生きている』と感じたらしい。
それから、自分自身の手で人を殺し始めたと告白する。

 

 

皓が機械だと信じ切れないしおんを連れ、無言のまま外へと出る皓。
そのまましおんを抱えて、上空へと飛んでいきます。

 

inuyashiki5_5(奥浩哉『いぬやしき』5巻122-123p)

 

悲鳴を上げるしおんちゃん(;´∀`)
そらビックリする。

 

「これからは全世界が…俺の敵だ…もっともっと人を殺す」と言う皓。

皓の瞳が闇のように黒一色、ベタ塗り。
どんどん破壊へと突き進むさまを表しているように見える。

 

恐怖とパニックで悲鳴を上げて、涙と鼻水まみれだったしおんちゃん…。
ここで彼女が言った、「おいてかないで…」の言葉に反応する皓。

 

inuyashiki5_6(奥浩哉『いぬやしき』5巻132p)

 

真っ黒だった皓の瞳に、徐々に光が戻っていく。
自分とおばあちゃんを、おいていかないでと懇願するしおん。

 

自分が必要とされたことで、皓は「わかった…ずっと…一緒にいる」と、考えを変えます。
それでも自首はしないと言う皓に、しおんは殺された人達の未来を奪ってしまったことを嘆きます。

 

殺されてしまった家族達の死を悲しむしおんに、皓はこう言う。

「じゃあ…これから…人の命を…なくなりそうになってる命を…俺が殺した数だけ救っていくよ」

これまで沢山の人の命を奪った皓が、その罪滅ぼしに今度は『人の命を救う』と決心する。

 

 

その後しおんの協力で、皓は不治の病や末期ガンの人達を救い始めます。
犬屋敷さんと同様に命を救ったことで感謝される皓。

治った人達にTwitterで拡散してもらい、さらに沢山の人を救済していく。

 

自分を必要としてくれたしおんに対して、皓は「ずっと大事するから」と、情が芽生えます。
しおん、おばあちゃんと食卓を囲む皓。
この前までの気まずい食卓が嘘のように、和やかな雰囲気で会話する三人。

 

しかしその夜、寝静まったしおん達の自宅へ警察らがやって来ます。
特殊急襲部隊(SAT)のような武装した姿。

穏やかな日々を送っていた皓の、束の間の平和が終わる。

 

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まとめ

ジェットコースター並に展開の落差が激しい5巻。
その渦中の人物、獅子神皓(17)。

まだ17歳ということを考えたら、精神的に不安定なのは仕方ないかもしれないですね。
とにかく感情が大きく揺れ動いています。

 

母親が自殺してしまったことで、マスコミや2ちゃんねらーへ制裁を加える皓。
報復したところで、母親は戻ってこないし虚しいだけで…。

どんどん自棄になって「全世界が敵だ」と、破壊の道へと進んでいく。

が、ここでしおんに「おいていかないで」と、自分を必要とされたことで、皓の気持ちに変化が表れます。

この時の、皓の表情や瞳のコマ。
最初は絶望しかない真っ黒ベタ塗りだった瞳に、光が戻っていく所が細かいけど、気持ちの変化が表れていて良い。

 

 

人を救済することで、これまで殺してきた人達への罪滅ぼしを始めた皓。
人の命を奪ったかと思えば、今度は人の命を救っていく。

ほんとに言動がガラッと大きく変わります(;´∀`)忙しいな皓。

 

これからは、しおんやおばあちゃんと穏やかに暮らしていけるかもしれない。
そう希望をもたせた5巻最後で、なんとも鬼畜な展開に( ゚Д゚)

これは続きが気になる…!
また皓がダークサイドに堕ちる展開になりそうだ…。
しおんちゃん…。

続きはこちら。
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