(奥浩哉『いぬやしき』5巻)
くろやんです。
皓のことについて色々書いてみました。
以下、6巻までのネタバレを含みます。
三次元よりも二次元
『いぬやしき』のもう一人の主人公として登場する獅子神皓。
高校生で現在17歳。
58歳の犬屋敷さんと対照的に、若さ溢れるフレッシュ(?)な17歳。
そして、イケメン。
作中で何かと顔のことをよく言われています。
年齢関係なく女性を虜にする皓。
おばあちゃんにまでw
(奥浩哉『いぬやしき』5巻)
警察に追われることになった皓を匿ったクラスメイトの渡辺しおん。
彼女の友達曰く、皓はイケメンでスポーツもできるから人気らしい。
そりゃモテる!
で、しおんも皓に告白してるんですね。
この時、皓自身はしおんにどう思ったのかは謎で、「ありがとう!」と礼を言っただけで帰ってしまうんですが。
その後、警察に追われるようになり、テレビで報道されてからが大騒ぎ。
大量殺人のことはもちろん、皓の容姿のことでもネット上で盛り上がるという異常な事態に。
更に犯罪者であるにもかかわらず、6巻では皓のファンクラブが10個あるとか何とか言われる始末。
ジャニ系恐るべしw
これだけイケメンと騒がれる皓ですが、好きなものはワンピース。
そして、麻理とナミを比べた場合は「ナミの方が全然いい」らしい。
スポーツができてイケメンという高スペックでありながら、二次元を愛するというその心意気がいいですね。
不思議なことに、麻理も人気のある皓に対して何とも思っていないよう。
どちらも恋愛に興味はなさそうな印象です。
しかし、漫画が好きという共通点はあるんですね。
漫画の話では盛り上がりそうな二人。
皓がよく言うフレーズ
皓の家庭環境が明らかになったのが4巻。
皓の父親と母親は離婚をしているようで、皓は母親と狭いアパートで二人暮らし。
機械の身体となった皓は何でもできるようになる。
母親のガンを治すことができ、ATMで大金を不正におろし、母親に広いところに引っ越そうと言います。
「俺がこれからずっと…母さん支えるから」
2巻で無差別に人を殺して冷酷な人物と思えた皓は、実は母親が大好きだった。
しかし母親のガンを治すのはともかく、不正に大金をおろすのは犯罪。
しかも、皓はすでに無関係の家族を何人も殺している。
この時の皓の「俺が母さんを支える」という台詞。
何か見覚えがあると思ったら、2巻で直行に言っていた言葉とどこか似ているんですね。
(奥浩哉『いぬやしき』2巻)
学校に行かなくなった直行を朝迎えに来た場面です。
その後、学校で直行をイジメていたやつに報復したあとも、皓は「アメリカの軍隊が来ても…俺が守ってやるよ」と言う。
そして、似たようなフレーズは他にも。
5巻終わり、皓は自分を匿ってくれたしおんに対する気持ちが変わっていった場面で。
一緒に空を飛んで抱えていたしおんに、皓は「ずっと大事にするから…」と言う。
俺が守ってやる。
支えるから。
大事にするから。
皓は自分が大切に思っている相手には、こういった言葉をよく言っています。
なぜ、このフレーズを言うのか考えてみると、結局のところ『誰かに必要とされたいから』ではないかと思います。
特にそれが強く表れていたのが、5巻でしおんに「おいていかないで」と言われたところ。
必要とされたことで、皓は「わかった。ずっと一緒にいる」と自分の考えを変えます。
ここでは、しおんの言葉のおかげで『人の命を救っていく』と皓は一度考えを変えますが…その後は6巻のあの展開。
やっぱそっちを進むか、皓。
不安定な17歳
人の命を救っていく、善の存在として描かれる犬屋敷さんと。
大量殺人を犯して警察にも追われる、悪の存在として描かれる皓。
ある日突然、二人とも機械の身体にされてしまうんですが、その後の行動は大きく違います。
一方は人の命を救うことで生を実感する。
もう一方は人の命を奪うことで生を実感する。
この違いは一体何なんだろう。
機械の身体となって自由に殺人を犯したり、派手に警察との戦いを繰り広げる皓は本当のところ、機械の身体になったことを喜んではいません。
人間に戻った夢を見た時は「やった!人間に戻った!」と、喜ぶ様子を見せていたり。
しおんに打ち明けた言葉の中で、皓は自分が機械の身体になったことを「怖かった…ひたすら怖かった」と言っていたりする。
(奥浩哉『いぬやしき』5巻)
しかし、その機械になって怖いという気持ちから逃避するように、皓は自分の手で人を殺し始めます。
もう一人の機械になった人間、犬屋敷さんもいきなり機械となって怖いとは思いながらも、人を殺したりはしていない。
この二人の行動の違いは、なぜ?
単純に漫画のストーリー上、対照的な二人を出したかったからとも考えられます。
あとは、58歳と17歳という年齢の人生経験の違い。
それに加えて、もともとの性格も大きく関係しているのかもしれません。
皓の言動は不安定で大きく変わりやすい。
誰かに必要とされたい気持ちから、相手のために行動する場面は見られますが、皓自身の軸が定まっていない。
だから、母親の言葉を聞いて「もう人を殺すのはやめよう」と思ったり、自暴自棄になって全世界が敵だと考えたり、しおんの言葉で「人を救っていく」と考えを変えたりと言動が大きく変化しやすい。
とにかく不安定なんですね。
軸がしっかりと定まっていないぶん、感情が大きく揺れ動きやすいというか。
もともとの性格も関係していそう。
もしかしたら展開次第では、また皓の考えが大きく変わってしまうのではないかとも考えられます。
まとめ
皓の「俺が守ってやる。支えるから」というフレーズが妙に気になっていたので、色々考えてみました。
最後は上手くまとまらなくなりました。
この漫画は主人公が58歳(おじいちゃんにも見える外見)と17歳(ジャニ系イケメン)で対照的な二人ですね。
おまけに、やっている行動も対照的という。
6巻からは皓の迷走がエスカレートしてきたので、今後の展開としては日本VS皓と犬屋敷さんVS皓で物語の決着がつくのでしょうか。
小惑星の衝突はどうなるんだろう。
バトルもそうですけど、犬屋敷さんと皓の会話を見てみたい。
お互い唯一の機械にされた人間同士なので、共感する気持ちとかあったりするんじゃないか…と思うわけですが。
よく考えたら、犬屋敷さんは皓の幼馴染みの直行(チョッコー)と行動を共にしているから、皓のことを色々聞いていそうですね。
それを知った犬屋敷さんが皓に対してどう思うのか。
よくよく思い返せば、まともに会話してないな…この二人。
さすがに犬屋敷壱郎VS獅子神皓となる大きな戦いの前には、何かしらの会話があるはず。
いや、あってほしい。
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