(羽海野チカ『3月のライオン』9巻)
『3月のライオン』9巻のChapter.90で登場する滑川臨也(なめりかわいざや)
見た目も中身もキャラ濃すぎる。
死神と呼ばれた男。
喪服の棋士。
どんだけネガティブな肩書きなんでしょう。
滑川臨也七段、35歳。
棋界一番の疎まれ者だそうです。
見た目からして、もう何か不吉なオーラを放っています。
全身いつも黒づくめ。
実家が町の小さな葬儀屋を営んでいるそう。
顔が不吉過ぎて、長男なのに継がせてもらえなかったんですって(なんか不憫)
「立てば不吉」
「座れば不気味」
「歩く姿は疫病神」
おぅ、ひどい言われ様ですね!ここまで嫌われているとは…。
まぁ…対局中にじーっっと顔を覗き込まれたら嫌ですけどw
普段は掴みどころのない、ふわふわした将棋を指すクセに、相手の運命がかかった一局にはなぜか、神がかった力を発揮する。
誰かの「ここ一番」という十字路には、なぜかいつも立っていて、「望み」とは逆方向にキッチリと連れて行ってくれる。
滑川と対局した横溝もスミスも、「縁起悪いにも程がある」「いい仕事しすぎだろ、あの疫病神!」と悪態をついていました。
そんな滑川七段。
本人曰く「きっと僕、人間が大好きなんです」ということらしい。
将棋を心から愛している。
『生きている』ということを、こんなにも実感できるものを他に知らない。
対局中に相手の顔を覗き込むのは、命のやり取りのような極限の状態で、あるがままの姿を見せてくれる対局相手を心から愛おしく思ってしまうから。
「僕、勝手なんで、自分さえ満足ならそれでいいんです。僕の方から好きなのであれば、それで充分幸せです」
自分が愛しているから、それで満足。
おいおい!それでいいのか!?
自分しか考えてないな。
一歩通行すぎる愛だな。
これ読んでいて、ある人物を思い出しました。
見た目や年齢は違うけど、名前が滑川七段とまったく同じ。
『デュラララ!!』の折原臨也(おりはらいざや)
「人、ラブ!俺は人間が好きだ!愛してる!」
人間観察が趣味で、人間に対して歪んだ愛情をもっている情報屋。
いろいろ歪んだ人物ではあるんですけど、どこか憎めない人間らしい一面を見せることもあります。
対局相手を心から愛おしく思ってしまう滑川臨也。
人ラブ!で人間を愛している折原臨也。
その一方通行な愛情が、どこか似ているように感じるのは、気のせいだろうか。