©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
第9話の感想です。
笑いもシリアスもオチも、上手くまとまっていました。
今回、40年将棋を指し続けてきた松永が良いキャラです。
Chapter.18 遠雷(その②)
Chapter.19 遠雷(その③)
以下、アニメ第9話と原作2巻のネタバレを含みます。
ガンガンいこうぜ
棋士歴40年、65歳の現役棋士・松永正一との対局の日。
自分の人生の倍以上の年月を戦ってきた松永に、零はその覚悟を思い気を引き締める。
しかし始まった対局では、行き当たりばったりとしか思えない手を指す松永に、いたたまれなくなってしまう零。
対局を終えた零は行きがかり上、松永と食事に行くことになるが……?
(アニメ公式サイトより)
今回は零と松永の対局です。
松永は現在65歳で棋士歴40年。
40年も将棋を指し続けてきた人です。
普通の会社だったら、入社してから定年までずっと同じ会社で働き続けるような感じですね。
対局に向かう途中で、零は香子に言われた言葉を思い出します。
「気が重いでしょ?老いた犬の首をしめに行くようなものだものね」
お…おい…老いた…いぬ…って、改めて聞くとヒドい台詞。
さすが香子、この頃はまるで悪女のよう。
零の心に引っかかる言葉を残していきました。
始まった零と松永の対局。
今回も対局が始まると、あのピアノのBGMが流れ始めました。
この曲は対局の時のテーマ曲なのかな。
静かに流れるように始まって、段々激しく盛り上がっていくところが、将棋の対局のイメージと合うかも。
松永が『穴熊』を仕掛けてくるのかと零が考えていると、穴熊じゃない。
と思ったら、やっぱり穴熊?
熊さんが出たり入ったり忙しい!
©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
「いなよ!そこ!今動いたら熊さん危ないってば!」
アニメで動きが付いて熊さん大忙し。
あと、松永の「ぼあ゛」の声w
行き当たりばったりな松永の動きに、零もやり辛くて、いっぱいいっぱいになってしまう。
香子に「あなたって優しいから」と言われたけど、無理なもんは無理!
もう終わりにしよう。
そう決めた零の動きは早かった。
いのちだいじに→ガンガンいこうぜ
いきなりスーファミのドラクエみたいな画面来た!
「まつながななだんがあらわれた!」
平仮名ばっかりで読み辛いw
©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
シャフト遊んでるな(´∀`)
面白い!
まさかこんな懐かしいスーファミ画面を用意してくれるとは。
ドラクエやりたくなってきた。
結果、零の勝利。
それから階段で帰ろうとした零は、松永とバッタリ顔を合わせます。
で、気まずい空気になってしまい、しかも松永が『つるんこ』して転んでしまう。
なんやかんやで、零と松永は一緒にご飯を食べに行くことに。
レッツうなぎ屋!
そして、今回もニャー将棋音頭(三番目)が来ましたよ。
だんだん癖になってきた!
ニャーの動きと声に癒される。
言葉では言い表せない
零におごって貰ったうなぎを、「んまいっ」と食べる松永。
このうなぎ4720円です。
零の方は2100円です。
負けた松永の方が高いやつを食べてます。
これがプロの世界、これが年功序列。
松永が零の義理の家族のことを愚痴り出し、香子のことを「気が強くて鬼のようにキレイな顔をしとった」と言います。
よく分かってらっしゃる。
しかも、「アレはおっかないぞ…大人になったら毒婦ってやつになるな」とまで。
毒婦=腹黒く、悪事を働く女
すごい言われようw
家族以外の第三者から見ても、香子は強烈な人物ということがよく分かりますね。
しかし、松永曰く自分のところの女房が一番おっかないらしい。
ここで松永が、自分の故郷の酒を飲みながらうんちくを語り始めます。
ここは原作でも文字がぎっしりと詰まっていたページです。
©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
アニメでは、もちろん忠実に再現してくれました。
「さかのぼれば1643年。3代将軍徳川家光より…うんたらかんたら」
松永の長い長い台詞が続きます。
さっすが原作に忠実!
松永が一人で約1分半喋り続けます。
す…すごい…。
しかも、このあと酒をおかわりした松永が、「で?何話しとったっけ?」となって、急に孫の話を始めるんです。
孫の話を始めた時の松永の目が、つぶらな瞳で背景に花まである!
急に孫バカなじいちゃんの顔になった。
まだ高校生の零は、話がすぐに飛ぶ酔っぱらいの言動に振り回されます。
絵に描いたような酔っぱらい。
零の周りはフリーダムな人が多くて大変だ。
さらに、「次☆行っちゃうぞ」とノリノリの松永。
今度は松永のおごりだって。
「次はワシのおごりだ、良いとこ連れてってやる!」の松永の顔がすごく生き生きしてる。
憎めない人だなぁ。
©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
その道中、シリアスな空気に変わり…松永が零との対局のことを話し出します。
至上たった5人目の中学生プロと言われた桐山零に、勝てる気がしなかったと。
零のことを、『自分の将棋人生に幕を引きに来た死神のように思っていた』と言います。
しかし、対局室で正座する零の姿を見た松永は…「何と若く、美しい死神なのであろうか」と衝撃を受けます。
背筋が伸びた零の姿勢の正しさは、闘う者としての礼儀を感じます。
せめて、正々堂々と戦って散ろうとした松永。
それなのに、自分の心は「負けたくない」という気持ちで溢れていきます。
©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
松永の気持ちがリアル。
最初は零のことを死神と思ったり、今度は潔く散ろうと気持ちを変えたかと思えば、本心はやっぱり『負けたくない』と最後はみっともなく足掻いたり。
零の「将棋好きですか」の問いかけに対する松永の台詞も生々しいです。
気が遠くなるほどの勝ち負けを繰り返して、辞めようと思っても辞められない。
その気持ちを、言葉では簡単に表現できないってことでしょうね。
香子の「引退するらしいわよ」の言葉通りにはならず、松永はこれからも将棋を続けることにします。
うんうん。感動する終わりだと思ったら、最後にまさかのオチ。
「将棋を辞めたら、家で威張れなくなってしまう!」って。
松永は家で皿洗ったり、孫洗ったりが嫌なんだって。
洗おうよ!皿も孫も!
オチが良いね。
まとめ
今回は零と松永七段の話です。
シリアスもあり、笑いもあり、オチもありのテンポ良い構成でした。
そして、原作と同じく松永七段のキャラが良い味を出してました。
対局中やうなぎ屋は面白い描写が続いて、最後にシリアスな話です。
松永の心理描写のところは、アニメで観ると余計言葉が重く聞こえてくる。
負けたくない。
二海堂もそうでしたけど、松永に限らず闘う棋士達は、みんな思っている気持ちでしょうね。
「勝った時は叫び出す程嬉しくて、負ければ内蔵を泥靴で踏みにじられるように苦しくて」
勝負の世界はシビア、この台詞は生々しい。
そして、前半対局中のスーファミ画面をしっかり作り込んでくれていて、予想外の演出で良かったです。
この画面は懐かしすぎる!
©羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会
第9話のエンドカードは、押切蓮介さんが描く零。
主人公らしからぬ表情の零。
眼鏡がめっちゃ光っとる。
香子の台詞も相まって怖い(;´∀`)
押切先生は『でろでろ』というホラーギャグ漫画で有名になったそう。
ほかにも、ラブコメの『ハイスコアガール』も有名。
色々調べていて気になったのが、本人の漫画家生活を描いた『猫背を伸ばして』が面白そうです。
読んでみたい。
次回は原作2巻の最後の話。
安井との対局です。
2巻最後の零の描写は個人的に好きなので、アニメでどう表現されるのか楽しみ。
では、また来週~
第10話の感想はこちら。
アニメ3月のライオン第10話の感想【力の限り走って叫んで】