(奥浩哉『いぬやしき』9巻)
どうも、くろやんです。
この9巻の表紙と最終巻の10巻の表紙、個人的に良いなと思います。
いぬやしきは始めから終わりまで、きっちり犬屋敷さんと皓が交互に表紙を飾っていくのが良いね。
『いぬやしき』単行本表紙の対比がいいね
それでは、9巻のあらすじや感想を紹介していきたいと思います。
前回の犬屋敷壱郎VS獅子神皓の激闘も終わり、麻理も無事助かった後の様子です。
9巻は犬屋敷一家の家族の話がメインだと思う。
以下、9巻のネタバレを含みますので注意してください。
このときのため
前回終わりで、麻理に「朝には帰るよ」と言い残し、飛び立った犬屋敷さん。
獅子神皓の旅客機墜落によって、東京の街にはまだ大勢のケガ人がいた。
そのケガ人を一人一人、機械の力を使って救っていく犬屋敷さん。
助けられた人も、周りでその光景を見ていた人々も、奇跡を起こしていく老人の姿に驚く。
人々の命を救っていく犬屋敷さんの様子は、動画サイトにもアップされていた。
それを見た人は犬屋敷さんのことを『神様』と呼んだ。
GOD INUYASHIKI!
犬屋敷さん、カッコいいよ。
一人でも多くの命を救っていきたい。
犬屋敷さんは、自分がこの世に生まれた理由について考えた。
(奥浩哉『いぬやしき』9巻)
昔の自分を振り返り、なぜこの性格になって、なぜ人の命を大事に感じるのか。
今まで経験したことは全て無駄ではなかった。
今このときのため、自分は生まれてきた。
このときのため、機械になった。
犬屋敷さんの回想が時代を感じる映像ですが、こういうシーンはとても心に響きます。
今は58歳のおじいちゃんに見える犬屋敷さんにも若い頃があった。
少年期から青年期にかけて、学ランを着ている姿やサークル活動に打ち込んでいる姿を見ると、一人の人間の人生を垣間見ているようで、感慨深いです。
そして、自分が機械になった理由についても、自分なりに答えを導きだした。
犬屋敷さんの涙が印象的。
朝になり、ようやく帰宅した犬屋敷さん。
家の中に入ってみると、やけに静か。
みんな寝ているのか、まさか出掛けているのか。
犬屋敷さんが居間に入ると奥さんと麻理、長男とはな子、みんなが犬屋敷さんの帰りを待っていた。
しかも、みんな思い詰めたような真面目な表情で。
テレビに昨夜の犬屋敷さんがケガ人を救っていく様子が映っていた。
神様のように奇跡を起こす老人。
家族に自分の行動を知られてしまった犬屋敷さんは、とうとう全てを打ち明けることに。
(奥浩哉『いぬやしき』9巻)
自分は犬屋敷壱郎ではなく、そっくりに作られた機械だった。
機械の身体を見せた犬屋敷さんに、家族はみな驚き声も出ない。
やはり、受け入れてもらえないのか。
犬屋敷さんが居間を出て行こうとしたところで、奥さんが唐突に「新婚…旅行は?」と問い掛ける。
その問いに犬屋敷さんは、『熱海での新婚旅行のエピソード』を話す。
これは夫婦二人しか知らない内容。
目の前の人物は機械の身体でも、紛れもなく犬屋敷壱郎。
そう感じた奥さんは犬屋敷さんを抱き締め、「お願い…うちに居て…」と涙を流して懇願する。
そして、麻理も「どう見たってお父さんじゃん!」と言って、泣きながら犬屋敷さんのもとへ駆け寄る。
(奥浩哉『いぬやしき』9巻)
その様子を見て一人、「いや…おかしいよ…おかしいって…何コレ…」と、頭を抱える長男。
なかなか現実を受け入れられない様子。
ここの奥さんが新婚旅行のことを聞いて、犬屋敷さんが当時のことを話していく場面ですが。
あれ…目から水が…。
こういうシーンはすごく弱いです。
まさか熟年夫婦の新婚旅行の思い出が、こんなにも胸に響くなんて…!
最初の1巻で、家族にないがしろにされていた冴えないお父さんが、今こうして家族に必要とされている。
よかった…よかったよ…!
そして、はな子もちゃんと犬屋敷さんに寄り添っているのが可愛い。
ただ普通に漫画読んで話したかった
家族に機械になったことを打ち明け、受け入れてもらえた犬屋敷さん。
食卓も和やかになって、「今度、お父さんとみんなでファミレス行かない?」という話になる。
ほのぼのとした一家団らんの光景。
一方、犬屋敷さんとの戦いで敗れた獅子神皓はというと…。
活動停止になって街に落下した後、ちょうど通行人が通りかかり、水(缶ジュース)を貰ったのでどうにか復活していた。
夜、帰宅した直行(チョッコー)が自室に入ると…真っ暗な中、何者かが立っている。
明かりを点けてみると、それはフードを被り、両腕を失った皓だった。
「よぉ」と何気ない様子で会話する皓。
まさか皓が襲撃に来たのか。
緊張する直行、動悸がすごい。
緊迫した空気の中、とっさに直行は「ジャンプ!今週の買ってあるよ!読む?」と、皓に問いかける。
(奥浩哉『いぬやしき』9巻)
く、食いついた!
どんだけジャンプ読みたいの。
そして両腕が無い皓は、器用に足を使いながらジャンプのページをめくっていく。
ジャンプを読みながら、「学校…行ってる?」「イジメられたりとか…ない?」と、直行の学校生活を心配する皓。
相変わらず皓は、自分が大切にしている人物には優しい。
しかし、直行は今の殺人を繰り返す皓は、もう昔の皓ではないと嫌悪している。
トイレに行った直行は犬屋敷さんに電話をし、ここに来てもらうよう頼む。
もし自分を殺したとしても、犬屋敷さんがお前を破壊する。
そう告げた直行に、「いや…そーゆうんじゃなくて…俺…普通に、漫画…読みたいなーって…」と言葉を濁す皓。
(奥浩哉『いぬやしき』9巻)
ただ、チョッコーに会いに来ただけ。
そう言う皓に、「お前はもう皓じゃない」「心がない…偽物の機械だ」と直行は言い放つ。
それを聞いた皓は黙って立ち上がった。
皓の目からは涙が流れていた…。
犬屋敷さんが駆けつけた頃には、皓は飛んで逃げていた。
そして、犬屋敷さんは直行が泣いていることに気付く。
この直行が泣いているというコマ、あえて直行の顔を描かずに、犬屋敷さんが「あれ?泣いて…るの?」と尋ねるのが、また切ない描写。
心がない機械だと思っていた皓にも心があって、直行の言葉に傷ついていた。
皓と直行、両者の涙が悲しいよ…。
その後、街をさ迷うように歩く皓。
ネットでは皓を糾弾する書き込みが相次ぎ、テレビの街頭インタビューでも皓の存在を非難する人々の姿が映し出される。
街を歩いても、通行人から恐れられ、警察にも追われることに。
どこにも自分の居場所がないと感じる皓。
しおんとおばあちゃんが暮らすアパート近くまで行くものの、結局声を掛けることなく立ち去る。
日本に宣戦布告し、大勢の人を犠牲にした皓の末路は寂しいものに…。
国民の敵になってしまい、幼馴染みの直行に拒絶され、しおん達にも会うことが出来ない。
皓のこれまでの行いが原因のため、自業自得になってしまうけど、大切な人達と話ができないのは寂しい。
解き放たれた人々
孤独になった皓と対照的に、犬屋敷さんは家族との絆を取り戻し、平穏な日常を送っていた。
なかなか受け入れてもらえなかった長男とも和解できた犬屋敷さん。
75話の長男と一緒にいるコマを見ると、改めて親子だなと思います。
二人とも顔がやっぱり似てるね。
(奥浩哉『いぬやしき』9巻)
自分も死なない機械の身体になって、人を助けて褒められたい。
そう話す息子に、犬屋敷さんは「死ぬからこそ…大切で愛おしいんだよ」と諭すように言う。
ホビットでも自分が好き。
犬屋敷さんが笑顔で、自分のことを受け入れることができた瞬間。
そして日曜日、ファミレスで食事をする犬屋敷一家。
ファミレスって…確か、1巻冒頭では犬屋敷さんが一人家に取り残されてたような…。
あの頃と比べると、ホント家族の中での犬屋敷さんの存在が大きく変わりましたね。
食事の後は、家族みんなで河川敷を散歩する。
「今度みんなで旅行に行かない?」「箱根なんかどうかな」
そんな他愛ない話をする犬屋敷一家。
家に帰って来てテレビを点けると、トランプ大統領の緊急会見が放送されていた。
3日後、巨大隕石が地球に衝突する。
残された時間はそれぞれが自由に過ごすように。
(奥浩哉『いぬやしき』9巻)
今なら何しても罪にならないよ!
だそうです。
!?
突然の地球終わりの放送に、ぽかんとする犬屋敷家のみなさん。
いきなり3日後にみんな死にます…って言われても…ねぇ。
それにしても、トランプ大統領ぶっちゃけまくり。
巨大隕石が地球に衝突すると言われ、もう死ぬことがわかった人々が何をするかというと…。
次の日、犬屋敷さんと長男が電車に乗ると、すべてフリーダムになった男達が笑いながら電車内を走っていた。
ちょっ、怖いw
笑顔で全裸って怖い!
みんな服着てよ( ゚Д゚)
さらに街では、もう金は役に立たないとばかりに、お札がばらまかれ、不法侵入やら路上であんなことやそんなこと、もう何でもあり!
終末の情景ヤバい!
おっかなすぎる( ;∀;)
人類はもはや打つ手が無く、ただ死ぬのを待つだけなのか。
いや、まだヒーローがいる。
「僕は…やってみるよ…最後まで」と、犬屋敷さんが何か行動を起こそうとする。
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まとめ
巨大隕石が地球に衝突って、確か6巻で言われていた内容ですね。
すでに伏線はあったので、やっぱりこう来たかという印象でしたが、10巻で終わるにはこの展開が無理のないものだったかも。
あんまり話が長引くより、短くまとまる方が良いです。
皓との戦いが終わり、最後には巨大隕石を何とかするという展開になりました。
今回の9巻では、戦いの描写が無い代わりに人物の心理描写が印象的な巻でした。
犬屋敷さんと奥さんの新婚旅行の話や、ようやく家族に自分が機械だったという告白をし、受け入れてもらえたところ。
あれ…目から水が…。
ベタだけど、こういうの好きなんです。
そして、家族と平穏な生活を送れるようになった犬屋敷さんと対照的に、皓はどこにも居場所がないという何とも悲しい展開に。
直行(チョッコー)が泣いているという場面…あれはズルいですよ。
あえて顔を描かなかったところが、余計に切なく印象的になった…!
ようやく家族と平穏に暮らせると思ったら、最後に巨大隕石衝突。
終末の情景は色んな意味で怖かったw
自由になって解き放たれると、人って何でもやっちゃいますから。
実際どんな風になるのかなぁ…って想像しても怖いですね。
犬屋敷さん、皓がこれからどんな行動を起こすのか。
いよいよ次がラスト10巻。
コメント
I really enjoyed reading this article! I especially like when you talk about the chapter when Hiro goes to meet his childhood friend like nothing happened. I had always though it was just showing that even if people do bad things they have hearts. I didn’t realize that Andou (?)was realizing that he had hurt Hiro’s feelings and that he Has feelings!
Thanks for writing this!!
Alexisさんへ
Thank you for your comments!
I’m glad you said that.