いぬやしき10巻のネタバレ感想【大切な人達を守るため、機械になった】

いぬやしき

(奥浩哉『いぬやしき』10巻)

 

どうも、くろやんです。
いよいよラストの10巻まできました。

 

今回の10巻、表紙をめくって1ページ目すぐにある犬屋敷さんと皓のカラー絵ですが。
こちらを振り返る皓、前だけを見て振り返らない犬屋敷さん。
ラストの展開を考えると色々な感情が込み上げてきます。
特に背中で語る犬屋敷さんの姿…良いじゃないか。

それでは、10巻のあらすじや感想を紹介していきたいと思います。

 

 

以下、10巻のネタバレを含みますので注意してください。

 

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行って来るよ

突然のトランプ大統領から全世界に向けての『巨大隕石が地球に衝突するから、ユー達はみんな3日後に死ぬよ』宣告。
街では解き放たれてフリーダムになった人々の姿があり、無法地帯となったおっかない終末の情景が広がっていた。

 

人類はこのまま、ただ終わりが来るのを待つだけなのか。
そんな絶望的な状況の中、犬屋敷さんが立ち上がった。
直行(チョッコー)と電話しながら、犬屋敷さんは「全世界の助けを求める人達の…沢山の声が…もの凄く沢山聞こえるんだ」と話す。

 

宇宙に行って、隕石の軌道を変えてみる。
そう話す犬屋敷さんに、直行は「犬屋敷さんが…そこまでしなくても…」と泣きながら止めようとする。
が、もうこれしか手がない。
犬屋敷さんは直行に『帰って来るよ』と約束すると、電話を切った。

 

部屋に一緒にいた、はな子を抱き締める犬屋敷さん。
何度もはな子の名前を呼んで、「じゃあ…行って来るよ」と話しかける。

 

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(奥浩哉『いぬやしき』10巻)

 

はな子のつぶらな瞳が可愛いのと、犬屋敷さんの言葉が切ないのとで色んな感情に胸が締め付けられるよ。
部屋を出た犬屋敷さんは、台所で大量の水を補充して、家を出発しようとする。

 

夜、家族みんな寝静まったはずの時間帯。
玄関のドア前に、なんと麻理が立っていた。
人知れず、父がどこかに出掛けようとしている。
麻理は父がどこに行こうとしているのか、すべて理解していた。

 

「お父さんが行かなくてもいいじゃんか」と言う麻理に、「最後まで…諦めたくないんだ」と話す犬屋敷さん。
どうしてもダメだったら、帰って来てみんなといる。
そう言って、出て行こうとする犬屋敷さんの背に麻理はしがみつく。

 

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(奥浩哉『いぬやしき』10巻)

 

行っちゃやだ!
涙を流しながら、麻理は必死に父を止めようとする。
犬屋敷さんは麻理に『帰って来る』と約束すると、空へと飛び立って行った。
そして、犬屋敷さんの後を追って家を飛び出したはな子も、飛び立った犬屋敷さんに向かって寂しげに吠え続けた。

 

犬屋敷さんが、直行や麻理と言葉を交わすところ…もう約束を守れなくなるフラグしかない( ;∀;)
うわあぁぁ…。
階段を転げ落ちながらも、犬屋敷さんの後を追って走って行くはな子。
台詞がないのに、はな子の犬屋敷さんに対する気持ちが伝わってきて切なくなる。
はな子…はな子!!

 

人類の運命

隕石の軌道を変えるため、宇宙へと飛び立った犬屋敷さん。
大気圏を突入し、あっという間に宇宙へとやって来た。
ホントにものの数ページで来てしまった、機械の身体すごい。

 

犬屋敷さんは、問題の巨大隕石のもとへと降り立った。
何もない荒涼とした世界が広がり、予想外の大きさ。
あまりの巨大さに愕然とする犬屋敷さん。

 

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(奥浩哉『いぬやしき』10巻)

 

ちょうど直行から電話が掛かってきて、犬屋敷さんは実況中継を開始する。
これは【巨大隕石の上にいるけど、質問ある?】じゃなくて、【巨大隕石の上にいるけど、どうしよう?】みたいな感じ。

 

とりあえず、直行が言った『アルマゲドンでは、地面を深く掘って核で爆破していた』というアドバイス通りにやってみることに。
(アルマゲドン観てないけど、そうなの?)
犬屋敷さんは地面を深く掘ると、そこ目掛けてありったけの攻撃を撃ち込んでみた。
ものすごい爆風が巻き起こり、犬屋敷さんも吹っ飛ぶ。

 

結果は…ちょっと穴があいただけ。
その時、犬屋敷さんはアメリカ連合チームがあけた巨大な穴を発見する。
アメリカ連合チームが、核を使って巨大な穴をあけてもダメだった。
「もう充分です…犬屋敷さん…これが人類の運命なんですよ」と声を掛ける直行。

 

 

しかし、犬屋敷さんは最後まで諦めない。
もう一度、激しい攻撃を穴に向けて撃ち込む。
結果は、やはり変わらず。
そんな絶望感に打ちひしがれる犬屋敷さんの目の前に、一筋の光が…。

 

犬屋敷さんと同じく、地球から飛び立って来た皓だった。
皓が犬屋敷さんに何かを言うが、宇宙のため声は聞こえず。
電話で会話をする二人。
この距離で電話するって、なんかシュールな光景だね。

「なんで…ここにいるの?」と尋ねる犬屋敷さんに、「コレの…軌道を変えようと思って…」と答える皓。

 

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(奥浩哉『いぬやしき』10巻)

 

しおんとチョッコーのため。
大切な人達を守るため、ここに来た。
犬屋敷さんと同じ気持ちでやって来た皓に、『出来ることは全部やった』と話す犬屋敷さん。

 

すると、皓はある手段を説明する。
それをすれば、隕石の軌道が変えられるという。
それは『自爆』だった。

 

閃光

頭のシミュレーターで計算すると、この位置で自爆すれば軌道が変わり、地球は助かると話す皓。
皓は犬屋敷さんに帰るよう促し、自ら自爆しようという。

 

これまで沢山の人の命を奪ってきた皓が…最後に、大切な人達の命を救うために動いている。
犬屋敷さんも複雑な気持ちに。
地球からは皓のことを心配する、しおんの声が聞こえてくる。
しおんはずっと皓のことを思い続けていた。

 

両腕が無い皓は自爆の起動スイッチが押せない。
そこで皓は、犬屋敷さんに自爆の起動スイッチである目を奥に押し込んでほしいと頼む。
…え、目??目がスイッチなの?
前から思ってたけど、つくづく不思議なところにボタンとかスイッチがあるなぁ。

 

 

ちょうど電話してきた直行に、犬屋敷さんは事情を説明する。
皓が自爆をして地球を救おうとしている。
直行(チョッコー)に死んでほしくないからだということ。

 

ショックと後悔を受ける直行。
最後に会った時に、直行は皓に対してヒドいことを言ってしまった。
激しい自責の念に駆られた直行は、ベランダに出ると泣きながら声を張り上げた。

 

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(奥浩哉『いぬやしき』10巻)

 

ごめん、と何度も謝る直行。
その声は皓の耳にも届いていた。

 

犬屋敷さんに目を押し込むよう頼むと、皓は静かに目を閉じた。
皓の両目を奥に押し込み、隕石から飛び立つ犬屋敷さん。
獅子神皓は、閃光とともに自爆した。

 

 

皓のおかげで隕石は破壊され、無事地球は救われた。
そう思った矢先、犬屋敷さんの近くを巨大隕石の一部が通り過ぎていく。
かなり大きな欠片。
犬屋敷さんがシミュレーターしてみると、これは間違いなく地球に衝突する模様。

 

またしても絶望が!
シミュレーターで、犬屋敷さんがミサイルを全弾撃ち尽くし攻撃したとしても、軌道は変わらず。
そして、犬屋敷さんが皓と同じく自爆した場合は…地球は助かる。

 

直行に電話をし、「獅子神君のおかげで地球は無事だよ…これから家に帰るよ」と嘘をつく犬屋敷さん。
優しい嘘をつくところが悲しい…。
約束を守れなかった、ごめん。
犬屋敷さんは自らの両目を奥に押し込む。

 

最期に思い描く。
一戸建ての我が家。
何気ない光景。
家族の姿。

 

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(奥浩哉『いぬやしき』10巻)

 

大切なものをこの腕に抱くようにしながら。
犬屋敷壱郎は、閃光とともに自爆した。

 

地球にいた直行、犬屋敷家の家族にも、そのまばゆい光は届いていた。
機械になった二人のおかげで、地球は救われた。
わかっていても、この展開は目頭が熱くなってくる。

 

ヒーローがいなくなった世界

ラストは犬屋敷さんと皓がいなくなった後の話。
二人がいなくなった後も、世界は変わらずあり続けていた。
学校で、友達といつものように話をしていた麻理。
「麻理ん家のお父さん、帰って来たの?」と犬屋敷さんの話題を振られ、麻理は泣き出してしまう。

 

地球を救って、家族の前からいなくなってしまった犬屋敷さん。
急に父親を失ってしまって、麻理の胸中はまだ寂しさと悲しみでいっぱいだった。

 

奥さん(万理江さん)は相変わらず、スーパーのレジ打ちのパートをしていた。
どこかぼんやり考え込んでいて、表情も寂しげ。
家族を養っていた犬屋敷さんがいなくなって、犬屋敷家は経済的に苦しくなっていそう。

 

 

長男(剛史)も以前と変わらず、学校でカツアゲをされていた。
「お母さんが一人でパートで…お金、マジでないです…」と言う剛史。
やっぱり経済的に苦しそう。
それでも、万引きでも何でもして金を持ってこいと命令する不良組。

 

剛史は黙って不良達の言いなりになるのかと思ったら…なんと、不良達に殴り掛かり反撃に出た!
行け!剛史!頑張れ!
ホビットだと自嘲していた剛史が、これまで影が薄かった剛史が大きく成長したコマ。

 

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(奥浩哉『いぬやしき』10巻)

 

自らも殴られながらも、勇敢に立ち向かった剛史。
「見てた?父さん…」
屋上で空を仰ぐ剛史の表情は、晴れ晴れとしていて自信に満ちている。

 

 

そして、父を失った悲しみが癒えない麻理。
学校帰りに犬屋敷さんのことを思い出し、涙を流すことも。
コンビニに立ち寄った麻理は、何気なくジャンプのページをめくる。

 

【遂に入選作出る!!】
そこには、麻理が送った漫画が読み切りとして掲載されていた。
麻理は母に知らせるため、息を弾ませながら家へと駆けて行った。

 

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まとめ

いぬやしき、終わりましたね。
奥先生、お疲れさまでした。
リアルタイムで連載は追えなかったけど、単行本で最後まで読めてよかった作品でした。

 

最後の展開。
巨大隕石が衝突で二人が自爆、というのはベタといえばベタですが、わかってはいてもアツくなってしまう。
感情が高まるシーンの見せ方が上手いんでしょうか。
何度も目から水が…!
いや、ホントに出るんですよ。

 

特に84話、犬屋敷さんが自爆する前に家族のこと、はな子のことを思い出すところ。
台詞も少ない映像が流れるだけですが、何でこんなにも胸が締め付けられるんだろうと鼻水すすりながら思いました。
犬屋敷さんが家族を養う58歳の父親だからこそ、この家族を想うコマがより切なく感動的になったのかもしれない。

 

 

今回、犬屋敷さんと皓の二人は自爆するんですが、その自爆のコマが印象的です。
真っ白な背景で、機械の身体がバラバラに分解というコマ。
自爆という悲しい描写にもかかわらず、あまりの白さと細部の細かさに綺麗だと思ってしまうんですよね。
不思議だ…。

 

ラストの一話は麻理、剛史それぞれが新しいスタートを切った終わりで、上手くまとまっていてよかった。
麻理の漫画がどうなるか気になっていたんですが、ちゃんと伏線が回収されて安心しました。

ところで、麻理のとった賞の名前がなんかすごい…(;´∀`)腕塚賞って!
そして、影の薄かった長男(剛史)の成長は予想外だったので、これは思わぬ感動ポイントでした。

 

 

いぬやしきは全体的に台詞が少なく、見開きが多い漫画のため、深く読み込む漫画じゃないと初めは感じていました。
サクサク読めてしまう部分もあり、クッキーの食感みたいにサクサク読めて大丈夫か?と思ったこともありました。
何の心配やねんという話ですが。

 

しかし、これは最後まで読むと全体の印象が変わる!
映像的に流れるようにストーリーは進むけど、ここぞという時にダイレクトに感情に訴えてくる。
不思議な漫画だなぁ。
58歳の冴えない父親がヒーローになる、という設定も作品の魅力としてよかったと思いますね。

 

感想がまとまらなくなってきたので、この辺で終わります。
原作は完結したけどアニメと実写映画、楽しみにしています。
いぬやしき、完。

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