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累-かさね-8巻のネタバレ感想【罪を踏み越え、そして最後のカーテンコールへ】

time 2016/06/29

累-かさね-8巻のネタバレ感想【罪を踏み越え、そして最後のカーテンコールへ】

(松浦だるま『累-かさね-』8巻)

 

こんにちは、くろやんです。

『累-かさね-』8巻のあらすじや感想を紹介します。
や、やっと感想が最新刊まで追いついた…。

 

女優として生きるために美しさが必要だった累と、自分を捨てて別の誰かになりたいと望む野菊。
互いの利害が一致したと思った累は、野菊と協力関係を結ぶことに。
野菊もそれに同意するが、彼女には本当の目的があった…。

 

こうして、野菊の美しい顔を手に入れた累は、過去をもたない女優“咲朱”として、再び演劇の世界で活躍するようになる。
次の大きな舞台。
それは、淵透世(いざな)の最期の役となった舞台、シェイクスピアのマクベスだった。

 

以下、8巻のネタバレを含みますので注意してください。

 

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亡霊は罪の証

羽生田に『鬼門の台本』と言われたマクベスの舞台。
当時、透世は最盛期の演技を見せていたが、なぜかそれ以降舞台に立つことを望まなくなったという。
それを羽生田は「役者として優れすぎ、役の心理に呑み込まれた」と、累に話します。

 

真相は分からないまま舞台の稽古が始まり、累はかつて恋人だった雨野と顔を合わせるようになります。

以前と変わらず演技に打ち込む雨野と、こうしてまた一緒に舞台に立てる。
正体がバレるかもしれないという危険はありながらも、稽古中に雨野と過ごす時間を累は嬉しく感じます。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』8巻18p)

 

順調に稽古は進んでいき、夫マクベス(雨野)と息の合った演技を見せるマクベス夫人(累)
しかし、夫人が夢遊病を患う場面で…。

 

自らの手に血の幻影を見て、マクベス夫人は必死に血を消そうとする。
それを見た演出家の富士原は「もう一度」と、何度も累にやり直しを言います。
まるでマクベスのように、見えない何かに怖れを抱く累に対して、富士原はこう言う。

もっと役に潜り込め!たとえ、見たくないものを見ることになってもな!

 

富士原に言われたように、累はマクベス夫人の役に潜り込もうとする。
夫のために非情になり、殺人も血も怖れなかったマクベス夫人が、なぜ心を病み、血の幻影を見ることになってしまったのか。

恐らく、一心同体でもあった夫から必要とされなくなったからではないか…?と累は考えます。

 

『自分は夫のために在る』という存在価値が失われた、マクベス夫人に残ったもの。
現在の累が見たくないと感じていたもの。
それは、自らが犯してきたでした。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』8巻36p)

 

これまでの罪を思い出し、累はニナの亡霊を見ることになります。
悲鳴を上げて錯乱した累は、稽古の途中でそのまま倒れてしまう。
目を覚ました累の部屋にいたのは、羽生田と野菊でした。

 

 

淵透世がマクベス夫人を演じた時と同じことが、今累の中でも起きているのだろう。
そう羽生田は説明します。
当時、透世も同じように亡霊を見て、取り乱していたそう。

 

羽生田は累にひとまず休むよう言い、「よく考えるんだ、何が一番大事なのか。演劇はお前の生命なんだろう?」と、言い残して去っていく。
累は野菊に今晩は泊まってもらうよう頼みます。

 

次の日、野菊は累にこう告げます。
『顔を確実に入れ替えるために、ここに一緒に住むわ』と。
一人になるのが怖い…と感じていた累に寄り添うように、野菊は言葉を掛けていきます。

「過去や罪は消えなくとも、歩いて行けるはずよ。私もあなたと一緒に、その地獄を歩んであげるわ!」と言う野菊。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』8巻78p)

 

野菊の言葉に、累は涙を流します。
たとえ亡霊が現れたとしても、野菊がいれば己の罪も踏み越えていける。
そう累は決意します。

 

マクベスの内容とリンクするように累の心情が表現されていて、ここまで一気に引き込まれます。
亡霊として登場する彼女ら。
累と口紅に関わり、亡くなってしまったニナとイチカ。
また亡霊となって出てくるのだろうか。

 

今回の件で、累の野菊への信頼が揺るぎないものへと変わっていきました。
今の累には野菊の存在が支えとなっているようです。
それは、野菊の罠でもあるわけですが…。

 

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嘘を吐くのが上手くなった

一方の野菊。
累が再び女優として舞台に立てるよう、顔を入れ替え協力をする野菊の本心とは…。

 

母と自分の運命を狂わせた、忌まわしい淵透世と口紅への復讐。
そして、今もなお、その口紅を使い続ける透世の娘(累)を奈落の底へとたたき落とすことが野菊の目的でした。

 

野菊はその真意を巧く隠しながら、累に近付いて信頼を得ていきます。
不安になっている累に「一緒に住む」と言い、自ら「交換は必ず1日2回にした方がいい。時間もしっかり決めてね」と提案します。
『私も一緒に地獄を歩んでいく』と、累に言ったあの言葉。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』8巻77p)

 

これは野菊が父親である海道に聞かされた言葉でした。
(海道はこの言葉を、累と同じように当時悩んでいた透世に言ったらしい)

 

父の言葉に嫌悪しながらも、野菊は累を高みへ上らせるため、嘘を吐き続けます。
累の信頼を得ることはできたが、未だに疑惑を抱く羽生田をどうにかしなければ、と野菊が考えていたとき。

 

 

以前、野菊の客となっていた鷺沼という美術スタッフが、稽古帰りの累に声を掛けます。
咲朱の正体は野菊じゃないのかと勘違いした彼は、「今夜どう?」と累を買おうとします。
そのことを帰ってきた累が野菊に尋ねると…。

 

とっさに機転を利かせ、「これは勝機だわ」と判断した野菊。
羽生田と累の前で、野菊は嘘と本音を混ぜながら告白します。

身体を売るという方法しか生きる術がなかった。
『こんな穢い(きたない)私を誰にも知られないまま、別人としての人生を切り拓きたかった!』
そう涙ながら話す野菊の言葉に、羽生田も困惑します。

 

さらに、野菊は羽生田の疑惑を完全に払拭するため、「私を最初に抱いたのは父なの」と明かします。
父を殺した上に、こんな生き方をしている自分を姉(累)に知られたくなかった。
自分が妹だと明かすことはせずに、今はただ累のためになれるなら、それだけでいい。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』8巻135p)

 

野菊の言葉は、羽生田を信じ込ませるには十分だったよう。
野菊にとって気がかりだった羽生田も、この件以来すっかり野菊を信じるようになります。
以前は、演じることに対して嫌悪していた野菊がいつの間にやら嘘が上手くなっていたんですね。
何とも皮肉。

 

累が自らの罪を踏み超えて、さらに上へ行こうとしている。
それと同じように、野菊の計画(復讐)も着々と準備が整っていきます。

 

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最後の舞台の幕が上がる

野菊のおかげで立ち直り、累は罪に恐れを抱くことは無くなり、稽古も順調に進んでいきます。
心配していた“雨野が自分の正体に気付くのではないか?”という問題。

 

やはり、雨野は咲朱に対して「丹沢ニナと似ている」と感じていたよう。
あえて累は自分から丹沢ニナについての話題を振り、雨野に尋ねます。

「自分とニナのどこが似ているのか」と訊く咲朱に対して、雨野は「すきの無さだ」と答えます。
脅威になりかねない存在にもかかわらず、雨野に見透かされたことが少し嬉しいと感じる累。

 

それぞれが何か想いを抱きながら、とうとうマクベスの公演が始まります。

初日からスタンディングオベーションで、評判も上々。
公演最終日には、業界の大物達が来るだろうと羽生田が累に伝えます。
最終公演は最も重要なものとなり、あらゆる視線が累に注がれることになる。

 

累の演技は、上演の回を増すごとに研ぎ澄まされていきます。
富士原が演出したこの舞台は、開演からカーテンコールまで、ほぼ時間のブレがない。
12時と19時の1日2回上演のため、累は2回口づけが必要でしたが。

野菊が劇場の倉庫に来て、2回目の上演前に口づけをすることで上手くいっていました。

 

野菊は、この口紅と上演の時間もすべて計算していました。
復讐に備えて野菊が用意した武器、それは偽の口紅でした。
以前、屋敷に戻ったときに鏡台に置いてあったもので、デザインが累の持つ口紅とまったく同じものでした。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』8巻170p)

 

 

公演最終日。
滞りなく昼の回が上演されている間。
楽屋へと忍び込んだ野菊は、累が持つ口紅と偽の口紅をすり替えます。
本物の口紅の芯を削り落とし流したあと、野菊は「これでもう二度と、口紅の犠牲者が出ることはない」と、喜びます。

 

累が最後に野菊と口づけをして、顔を入れ替えたのが朝。
その12時間後の最終公演カーテンコールの最中、咲朱は累へと戻る
大勢の人々の賞賛の眼差しが、侮蔑と拒絶の視線に反転するだろう。

「しっかり見届けてあげるわ。あなたの運命のクライマックスをね」と、野菊は笑う。

 

 

まとめ

な、なんて気になる終わり!!
このあと、累と野菊がどんな展開になってしまうのか、ハラハラするやら怖いやら楽しみやら!
野菊が計画した通りに事が進み、累は大勢の前で素顔に戻ってしまうのか。
野菊の計画を裏切る、予想外の展開が待ち受けているのか。

 

8巻は最後の舞台に向けて、一気に盛り上がりが加速していきました。
マクベスの稽古中の内容と累の心情が、上手い具合にリンクしています。
累の雨野への気持ちや、累が自らの罪を直視する場面など。
『殺した人間の亡霊が見える』というマクベスの内容と、今の累とを当てはめて内面を表現するところが、緊張感があってグイグイ引き込まれます。

 

 

作中の役であるマクベス夫人の心理を、こうではないかと考察していたのも興味深いです。
マクベスの内容は詳しく知らないので、読みやすそうな本とか分かりやすそうな映画があったら観てみたい。
『累-かさね-』は出てくる舞台の演劇と、漫画のストーリーやキャラの内面とがリンクしているので、実際の演劇もどんなものか観てみたくなります。

 

改めて、『累-かさね-』に出てくる女性キャラは不幸というか…末路が何とも残念な結果になりやすい。
主人公である累と野菊も、今後どちらも明るい終わりにはならなそうだなぁ…。
今回の8巻表紙をめくった次のページにある、累の笑顔。
こんな笑顔で、累は終わりを迎えることができるだろうか。

 

 

次回、野菊の計画通りに進んだとして、累の素顔を見た人々はどんな反応をするのか。
驚愕したあと侮蔑も拒絶もあると思うけど、全員がそうなるとは限らないのでは…と思ってしまいます。
特に、雨野が累に対してどういった反応をするのか、気になりますね。
そして、幕が下りたあとの累と野菊がどんな会話をするのかも。

 

あとがきページにある、天ヶ崎の家の襖にビックリマンシールを貼る野菊。
天ヶ崎に「貼らないでください」って注意されてるよ。何やってんのw
本編のシリアスな展開から一転して和んじゃったよ!

続きはこちら。
累-かさね-9巻のネタバレ感想【騙し騙され、偽る女優達の過去と今】

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