累-かさね-10巻のネタバレ感想【同じ星空を見上げ、目に映る星が違っていても】

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(松浦だるま『累-かさね-』10巻)

 

どうも、くろやんです。

 

『累-かさね-』の実写映画が、いよいよ来月公開されます。
映画公開前に原作を読んでおこうと思って13巻まで読んだら、最終章の衝撃の展開に泣けてきて胸が締め付けられて、これはもう感想を書くしかないと思いました。

 

そんなわけで、続きから単行本のあらすじや感想を書いていきます。
毎度のことながら、感想を書くのが遅いけどね。
めっちゃ遅いけどね。

 

 

前回9巻の過去編、いざなと淵透世の出会い。
伝説の女優、淵透世誕生と海道との結婚。
その後累が生まれ、いざなと透世が顔を交換しているところを海道が目撃したことで、すべては崩壊していく。

 

以下、10巻のネタバレを含みますので注意してください。

 

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永久に奪い取る

いざなと生後間もない累を屋敷から追い出し、本物の淵透世を妻に迎えた海道与。
しかし、透世は女優としての才能をもっていない。
そこで海道は「取り戻せばいい」と、いざなを屋敷に呼び戻し透世と顔を交換させて、もう一度美しい女優、淵透世を取り戻そうとします。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』10巻)

 

いざなが屋敷で透世と再会したとき、透世は子ども(野菊)を身籠もっていました。
醜い己と子が生きるためには、やはり美しさを奪わなければならない。
そう実感したいざなは透世の顔を奪い、再び女優として舞台の上に立つことになります。

 

その後、野菊が生まれるが、透世は地下に監禁されて娘とは会えず。
いざなが生まれて間もない野菊を屋敷で育てることに。
それと同時に、いざなは自分の家を構えているようで、そこで累も育てていました。

 

 

夫婦別居状態ですね。
冷め切った夫婦の関係…。
いざなの海道への愛はすでになく、しかし縁は切ることなく。

 

いざなは累と野菊を育てながら女優としても、演出家であり夫であるパートナー、海道の舞台をこなしていきます。
やがて、稽古が始まった『マクベス』で、いざなは自らの罪と向き合うことになります。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』10巻)

 

かつて朱磐(あけいわ)で顔を奪った槻浪乃(つきなみの)や、自らが殺した者たちの亡霊でした。
そこで取り乱すいざなに、海道はあの言葉を掛けます(野菊が8巻で累に言った台詞)

 

海道の言葉もあって、いざなは『マクベス』の舞台を最後まで走り抜くことが出来ました。
しかし、それ以降は舞台に立つことを望まなくなったいざな。
その明確な理由は、羽生田も分からず。

 

ある日、羽生田を呼び出したいざなは、ある重要な話をします。
それは12時間という制約を振り切り、相手の顔を永久に奪い取る方法についての話でした。

 

最期の言葉

顔の永久交換によって、本物の淵透世になると羽生田に話すいざな。
しかし、その詳しい方法については説明せずに、いざなは『その方法に失敗した場合、自分がいなくなってしまったら』ということを話し、羽生田に累のことを頼みます。

 

では、いざなは顔の永久交換に失敗したので、亡くなってしまったのか。
本当の死の真相は、実は累が関係していました。

 

 

いざなは海道との縁を切り、累を連れて逃げようとします。
屋敷にいた海道を騙して外出させた後、いざなは屋敷に残る透世といつも通りに顔を交換する。
しかし、この時点でいざなは永久的な顔の交換に成功していたんじゃないかと羽生田は考えます。

 

いざなは娘の待つ家に帰り、そのまま累を連れて海道から逃れようとするが…先回りした海道によって累が連れ去られてしまう。
そして、海道と累の姿を見つけたいざな。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』10巻)

 

累を人質にした海道は橋の欄干に累を立たせ、いざなに自分の元へ戻ってくるよう脅します。
海道を鬼のような眼差しで睨みつけた後、「わかった…戻ります」と承諾するいざな。
いざなが戻って来ると分かった海道は、非情にもそこで累の手を離し、累の身体は後ろに傾き…。

 

とっさに累を抱き締めたいざなは、共に濁流の川へと落下します。
激しい流れに飲まれながらも、近くにあった木に掴まったいざな。
怖がる累に「大丈夫よ」と声を掛けるいざなだが、掴まっていた木が折れそうになっていた。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』10巻)

 

死を覚悟したいざなは、最期に娘にある言葉を言い残すと…そのまま濁流の中へ飲み込まれていった。
羽生田の話によって、累はいざなの死の瞬間を思い出します。
しかし、母が最期に言った言葉が思い出せない。

 

下流で見つかったいざなの遺体は、身体はボロきれのようになっていたのに、顔だけは綺麗なままだったという。
交換から12時間以上経っていたにもかかわらず。

 

完全な美しさを手に入れたのに、いざなは累を助けるために亡くなった。
そう累に話した羽生田は、「だから俺もお前も、何としても咲朱(さき)を光の下に生かし続けねばならない…!」と言います。

 

 

ここまでが9巻から続いた過去編、いざなの過去についてです。
羽生田の口から語られるため、顔の永久交換についてや、いざなの最期の言葉などは正確にはまだ分かりません。

 

それにしても、9巻から昼ドラ並に男女関係を含めたドロドロと濃い内容でした。
いざなの過去はこれまでも断片的に出てくるので、小説と併せて流れをまとめてみたいです。

 

満天の星と孤高の星

過去編が終わったあとに、このあと新たに登場する人物。
それは、累が高校生のときに演劇部の部長だった五十嵐幾(いがらしいく)です。
次回の富士原佳雄(ふじはらよしお)が演出する舞台に、咲朱と幾がダブルキャストで主役をすることになります。
舞台名は『星・ひとしずく』

 

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(松浦だるま『累-かさね-』10巻)

 

高校生当時から女優活動をしていた幾ですが。
1巻で累に顔を奪われ、累によって見事なジョバンニを演じられたあとは、舞台でジョバンニの時の演技を求められ、それが出来ないため苦悩していました。
やがて、『自分は劣っているんだ』と劣等感を抱くようになった幾は、舞台から一度離れてしまう。

 

自信を失い、ふさぎ込む姿を心配した友人に誘われ、幾は丹沢ニナ出演の『サロメ』の舞台を観に行くことに。
そこで観たニナ(累)の演技によって幾は心動かされ、また演劇がやりたいと思えるようになります。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』10巻)

 

こうして再び舞台へと戻ってきた幾は、歩き出すきっかけをくれたニナであり、現在は咲朱である累と舞台を共にすることになります。
しかし、圧倒的な演技を見せる咲朱を前に、幾は咲朱を意識して自分の演技にばかり気にしてしまい、周りを見ることが出来ず。
そのことを富士原に指摘されます。

 

 

稽古を一人続ける幾を心配した富士原は咲朱に、幾を誘ってある場所へ行ってくるよう頼みます。
二人が休みの日に出掛けた場所はプラネタリウム。

 

同じ星空を見上げる咲朱(累)と幾。
それは二人にとって、高校生の時に見た星空を思い出す光景でした。
ふいに幾が咲朱の方を向くと、彼女の頬に涙が流れていました。

 

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(松浦だるま『累-かさね-』10巻)

 

なぜ、星を見ながら泣いていたのか。
プラネタリウムを観終わった幾が咲朱に尋ねると、彼女は無意識だったようで、「私…泣いてました?全然気付かなかったわ」と返される。
幾との会話で、「実を言うと、満天の星空ってあまり好きになれない」と言う咲朱。

 

それよりも、真っ黒な中にただひとつだけの星が輝く。
そんな空がいい。
咲朱として、舞台上で圧倒的な存在感で孤高に輝く累自身の気持ちを表したものです。

 

「けど、あなたは満天の星空が似合うわ」と、幾に言う咲朱。
それは舞台でも同じ。
咲朱の言葉によって、幾は昔のように周囲の役者やスタッフのことをもっと見ていこうと気付きます。

 

 

満天に輝く星空と、暗闇の中にひとつだけ輝く星空。
同じ星空を見上げながら、目に映るものが違っていてもいい。
そう感じた幾は、「よかったです…今日あなたと話せて」と咲朱に礼を言います。

 

その後、帰宅した咲朱(累)は窓辺に座り、幾に言われた『何故、泣いていたんですか?』という言葉を思い出す。
そんなことどうだっていいけれど。
一人暗い夜空を見上げながら、ぽつりと呟く累。
「私やっぱり苦手だわ。あなたのこと」

 

まとめ

10巻の見どころは前回に続いての過去編のラスト、いざなの死について、そして新たな章に突入したあとの五十嵐幾の再登場です。
あと、おまけのHABUTAも見どころです。
本編とのギャップがありすぎる!

 

いざなの過去で出てきた顔の永久交換。
この方法について、この段階では詳しい説明はまだありません。
羽生田の話では、いざなは永久交換に成功していたそうです。

 

 

いざなの死の真相ですが。
実は累が関係していて、しかもその場に一緒にいたことが分かります。
それにしても、海道はとことん外道ですね。
実の娘(累)を人質にしてまで、女優淵透世(いざな)を手放したくなかったようで…うーん、いざなも透世もとんでもない男と関係を持ってしまったな。

 

娘を守るため、濁流に躊躇なく飛び込むいざなの姿は、母としての強さと愛を感じます。
累に向けた笑顔が優しい眼差しで印象的。
過去編で所々ホラーな表情があったいざなですが、最期に流されていく時の表情が綺麗で穏やかなので、切なくなりました。

 

 

そして、今回から再び登場することになった五十嵐幾。
累の過去を知る人物として、彼女も今後重要な役を担うことになります。

 

『累-かさね-』で暗い人物が多いなか、幾の素直で明るいキャラは逆に異質な印象を受けます。
でも、そうした対比があるからこそ、お互いの違いがよく分かるんじゃないでしょうか。
あと幾も、内容は違えども累と同じく、『自分は劣っているんだ』と劣等感を抱いていたというところも、二人の思わぬ共通点です。

 

 

前回、累と羽生田に捕まった野菊は監禁されたまま。
10巻終わりでは、野菊の身を案じる天ヶ崎が独自に累らについて調べ、幾の存在にたどり着き、ついに彼女に接触することになります。
天ヶ崎から累が顔を奪い、咲朱としてすぐ傍にいることを教えられた幾が、次回どんな行動を起こすのか。

 

いやぁ、濃厚なストーリーです。
こんなにシリアスな本編と一変して、おまけのHABUTAのシュールな面白さは一体どういうことなの。
あと、累の顔の交換限界にチャレンジも。
本編も面白いし、おまけも面白いよ!

続きはこちら。
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