【アニメヴィンランド・サガ21話感想】「友達になりたかった」ビョルン最期の願い。残酷な面と友を想う心と

(c)幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会

御前会議に出席するため、クヌート一行はイングランド北部の町・ヨークに入港する。
スヴェン王に対抗すべく打って出たいクヌート達だが、王は北海最強のヨーム戦士団に厳重に警護されながら、息子の動向を注視している。一触即発の状況の中、アシェラッドは一計を案じる。
一方、共に入港したトルフィンはかつての自分を知る人物と再会する。

（アニメ公式サイトより）

わお、アニメが原作と順序が微妙に違うよ！
大きくは変わってないけど、話の順番がちょっと入れ替わってる。
前回の続きだと、次はアシェラッドがビョルン、トルフィンと決闘をして、自身の過去を話すストーリーだったんですが。
アニメはヨークの町でトルフィンがレイフと再会する話が先にきてます。

順番を入れ替えることで、トルフィンの行動の目的、復讐のために生きているという部分を強調したかったのかな。
あと、御前会議の当日にアシェラッドはビョルン、トルフィンと決闘をしたってことになりますね。
アニメでは、この決闘の場面を特に重要だと考えていたのでは。
今回、最後のアシェラッドとビョルンの決闘の場面は、本当に良かった。

まずは、ヨークの町でクヌートが暗殺されかける話。
これは自作自演ですね。
アシェラッドの策です、悪いやっちゃなぁ。
奴隷の女性にクヌートの身代わりをさせ、暗殺者に殺させる。
もちろん、暗殺者を雇ったのもアシェラッド。

同じ町にいるスヴェン王ではなく、クヌート殿下が狙われたのはなぜか。
もしや、王陛下がクヌート殿下の命を狙っているのでは、と民衆が噂を始める。
実際のところ事実だけど。
この噂を町に流すことで、スヴェン王はクヌートからトルケルを奪ったり、激戦地へ派遣させたりといった不利な命令を下せなくなる。
影武者を使って、暗殺者を雇い暗殺させる自作自演の策！

(c)幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会

アシェラッド、悪いやっちゃなぁ！
原作でもあったあくどい顔。
「明日の王陛下の反応が楽しみですな」
こういう悪知恵がよく働くね。
悪知恵というか心理戦、頭脳戦だよ。
互いに頭を使って、あの手この手で相手の反応をうかがう。

しかし、奴隷の女性と暗殺者は気の毒だよ。
何も知らず命令通りに動いていたら、いきなり二人とも殺されるんだから。
この辺りのアシェラッドとスヴェン王の頭脳戦は見どころでもあるんだけど、将棋の駒か道具かのように、人の命が簡単に使われてる。
ひどい話だよ…。

そして、ヨークの町でレイフと再会するトルフィン。
レイフの目の前で暗殺者を殺すトルフィンの描写が、なかなか容赦ない！
平然と人を殺すようになってしまったトルフィンの変貌ぶりを、レイフは目の当たりにするんだから。
かつての無邪気な幼いトルフィンはどこにいった！？
今やグレにグレまくって、口が悪いヤンキー（おまけに平気で人を殺せるヴァイキング）になっちゃったよ。

「故郷へ帰ろう。もう充分だろう！」と言うレイフに、「アシェラッドが！野郎がメシを食い、クソたれてる間は！充分じゃねェ！！」と、ものすごい形相でブチ切れるトルフィン。
もうホントすごい鬼の形相。
なんということか…
あの陽気だった幼子が…

(c)幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会

まったくそうですね、レイフさん。
一体誰だ！トルフィンをこんなヤンキーに育てたのは！？
上司か！トルフィンが所属してるブラック企業の上司か！？

このトルフィンとレイフが再会した話の次に、アシェラッドとビョルンが会話する場面がくるんですよ。
アシェラッドとビョルンが「なら、明日」「わかった。明日」と話す場面、原作ではゲインズバラに着いてすぐだったんですけど、アニメだとここにもってくるんですね。
なるほど～、ここにこの場面をもってきたかぁ！

トルフィンが復讐の念に燃える場面の次に、ビョルンの「戦場での斬った斬られたは恨みっこなしだ。グジグジ根に持つのはトルフィンだけだ」と言う台詞がくるんですよ。
父を殺された憎しみを抱き続けるトルフィンと、仲間に刺されたことに対して何も恨んでいないビョルン。
こんなにも考え方が違うんですね。
憎しみをずっと抱き続けるって、とても疲れるしツライと思う。

アシェラッドとビョルンが「明日」と言葉を交わした。
次の日、アシェラッドと決闘を行うビョルン。
もう助からないとわかったビョルンは、最期にアシェラッドと戦って死ぬことを望んでいた。
互いに剣を構えるアシェラッドとビョルン。
このときのビョルンがアシェラッドに語り掛ける台詞が切ない…。

アシェラッドのことを尊敬している。
どんなにアシェラッドが自分を含めた仲間たちのことを嫌っていても。
己自身でさえ嫌うアシェラッドに、何もかも拒んで淋しくないのかと問いかけるビョルン。
「オレはさ…アンタと…友達になりたかったんだよ」

(c)幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会

ビョルンの声を担当している安元さんの演技が素晴らしいです。
アシェラッドと友達になりたかったというビョルンの想い。
すごいな…何がすごいって、一人の人間の色々な側面が見れる、この心理描写がすごいんですよ。
ビョルンはこれまで村を襲撃したり略奪、殺人という残酷なヴァイキングの一面を見せたことがありました。
そんな彼が、今回は友を想い、友の手で送ってほしいと願う。

残酷な一面と友を想う心と。
人間には、残酷な面と優しい面と様々な側面がある。
そんな人間ドラマを感じさせる『ヴィンランド・サガ』はすごい。

一瞬の静寂のあと、互いに動き出すアシェラッドとビョルン。
この一瞬の静寂がアニメならではの演出で良い。
アシェラッドがビョルンの言葉に応えて、「お前はオレのたった一人の友達だ」と言う場面は、彼らの友情を感じて泣けてくる。

そして、ビョルンがアシェラッドやトルフィン、アトリやトルグリム、死んでいった仲間たちの姿を思い描くアニメオリジナルの描写！
残酷な一面もあったけど、彼らの間には確かに友情があった。

そんなビョルンの最期、アシェラッドの哀愁を感じながら、切ない余韻を残して今回のアニメは終わり。
次回はトルフィンとアシェラッドの決闘。
しかし、友を自らの手で送ったあとのアシェラッドは機嫌が悪いし恐いぞ…。
仲間が一人、また一人といなくなっていくのは淋しいね。

⚔️毎週水曜日はうろ覚えで振り返り⚔️
「#ヴィンランド・サガ」のキャラがゆるかわな動物たちになって本編を振り返る「#あにまるらんど・さが」🐱21回を公開🆕
2人で過ごした懐かしい日々…👼👼https://t.co/VZow38PyYx #VINLAND_SAGA pic.twitter.com/m4cgeMB5PO

— TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式 (@V_SAGA_ANIME) December 11, 2019